発信者情報開示~アクセスプロバイダを4社経たケース

IPアドレスルートの発信者情報開示請求では、まず、SNS等を運営するコンテンツプロバイダに対する開示仮処分命令申立てや発信者情報開示命令申立てにより、IPアドレスとタイムスタンプの開示を受けます。その後、IPアドレスを管理するアクセスプロバイダに対し、発信者の氏名・住所等について発信者情報開示命令申立てを行うことになります。
この場合、アクセスプロバイダへの申立てが1回で終わるケースも多いですが、何度も申立てを行わなければならないケースもあります。

1 IPアドレスの管理会社が、発信者情報を保有しているとは限らない

コンテンツプロバイダから開示されたIPアドレスを調査すると、そのIPアドレスを管理するアクセスプロバイダが判明します。しかし、その事業者が、インターネットの接続サービスを利用者に直接提供しているとは限りません。
アクセスプロバイダが別の事業者に回線やIPアドレスを提供し、複数の事業者を経て利用者に接続サービスが提供されていることがあります。この場合、1社目が保有しているのは、発信者の氏名・住所等ではなく、その先の事業者の情報だけ、ということがあります。そこで判明した事業者(以下、便宜上「下位プロバイダ」といいます)に対して、改めて発信者情報開示命令申立てを行います。さらにその下に別のプロバイダがいれば、同じことを繰り返すことになります。

2 4社目でようやく発信者情報を保有するプロバイダにたどり着いたケース

私が取り扱ったケースの中には、アクセスプロバイダ1社目から数えて4社目で、発信者情報を保有するプロバイダにたどり着いたものがあります。
このケースでは、コンテンツプロバイダに対する手続の後、アクセスプロバイダに対する発信者情報開示命令申立てを4回行う必要がありました。1社目への申立てで下位プロバイダが判明し、2社目への申立てでさらにその下のプロバイダが判明する、という流れを繰り返したためです。
プロバイダが変わるたびに、新たな相手方に対する裁判所への申立てが必要になります。そのため、1社目で特定できるケースと比べると、発信者の特定までに時間も作業もかかります。

3 ログ保存期間があるため、連続して申立てを行う必要がある

アクセスプロバイダが保有するログはいつまでも保存されているわけではなく、その保存期間はプロバイダによって異なります。1社目に対してログ保存の対応をしていても、まだ判明していない下位プロバイダのログまで当然に保存されるわけではありません。
そのため、下位プロバイダが判明したらできるだけ早く発信者情報開示命令申立ての準備に入り、短期間に連続して数回の申立てを行う必要があります。
このように、発信者情報開示請求は、裁判所への申立てを1回行えば必ず発信者にたどり着ける、という単純な手続であるとは限らないので、注意が必要です。

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