X Corp.に対して裁判所を通じた発信者情報開示請求をする場合、IPアドレスの開示請求とアカウント情報(電話番号、メールアドレス)の開示請求を検討することになります。
X Corp.が保有しているという点は同じであっても、IPアドレス、アカウント情報それぞれの開示スピードは違うため、現状の実務を踏まえ、それぞれの発信者情報開示請求方法の選択について説明します(今後この状況は変わることがあり得ます)。
1 アカウント情報の保有確認には時間がかかる
アカウント情報(電話番号、メールアドレス)は、発信者情報開示命令申立で開示を求めることになります(アカウント情報は、開示仮処分命令申立で開示を求めることはできません)。
アカウント情報は、X Corp.側の保有確認結果を受けて裁判所が開示決定を出しますが、X Corp.側で保有確認をするのにかなり時間がかかります。最近の状況では、申立から2カ月~2カ月半ほどで、X Corp.側から保有確認の回答が出ています(事案により異なる可能性があります)。
2 それぞれ最速の開示を求めるなら、現状は別手続で進めるのが適切
IPアドレスは、開示仮処分命令申立、発信者情報開示命令申立のどちらでも開示を求めることができます。
つまり、IPアドレスとアカウント情報を、1つの発信者情報開示命令申立でまとめて開示を求めることができます。ですが、この方法だと、アカウント情報の保有確認が終わるまでIPアドレスの開示決定が出ないということになり、IPアドレスの開示が遅れてしまいます(裁判所が、IPアドレスだけ先行して開示決定を出し、アカウント情報の保有確認結果を受けてからアカウント情報の開示決定を出す、という対応をしてくれることがありますが、常にそうなるとは保証できません)。
IPアドレスはアクセスプロバイダのログ保存期間の関係もあり、急いで開示を求めたいケースが多いです。急いでIPアドレスの開示を求めたい場合は、開示仮処分命令申立を選択するべき、ということになります(開示仮処分命令申立の方が、決定をもらってすぐ間接強制申立てをすることができるというメリットもあります)。
上記を踏まえると、IPアドレス、アカウント情報、それぞれにつき最速の開示を求めるなら、①IPアドレスは開示仮処分命令申立、②アカウント情報は発信者情報開示命令申立、と別手続で進めるのが現状は適切であるといえます。
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